角化症は皮膚科の日常診療で、診断あるいは治療に難渋することが多い疾患です。

   角化症研究会はこのような角化症について虚心坦懐に意見を交わす場として、1986年に当時の杏林大学教授 長島正治先生 (臨床および光顕病理) 、東京大学教授 石橋康正先生 (臨床および電顕その他) と順天堂大学教授 小川秀興 (分子生物学、免疫学その他) の3名が世話人となって立ち上げた研究会です。本研究会にはこれまで角化症に関するさまざまな症例や研究が持ち寄られて、自由闊達な議論が行われ、この分野における皮膚科学の進歩に国内はもとより国際レベルで多大なる貢献をして参りました。すなわち、第1回以降は必ず年1回開催するものとし、2015年の第30回まで、一般演題だけでも693演題が応募・発表され、2016年には第31回を迎えることになります。
   また、毎回角化症に関わる分野の第一人者を国内外よりお招きし、最先端の研究内容を特別講演・基調講演としてご講演いただいております。そして、毎回研究会の終了後には、その発表内容だけでなく、当日のディスカッションも記載した記録集を作成しています。さらに、角化症の臨床および研究の最前線を網羅したカラーアトラス (The Color Atlas of Disorders of Keratinization) を2003年と2011年に英文出版しています。このアトラスでは魚鱗癬、掌蹠角化症、紅斑角皮症 等、特に稀少難治性角化症 (多くは、先天性・遺伝性) の臨床像・病理像・診断のポイントが示され、現時点での治療法・対症法などが記載されています。2011年には、角化症の分類や治療の記載もさらに充実させるとともに、海外においての角化症研究をリードされているDennis R. Roop先生 (コロラド州立大学) 、Heiko Traupe先生 (ミュンスター大学) 2名のInvited Reviewを加えて、大幅な改訂増補を英文にて行っています。
   長島先生が故人になられた後は、代表世話人を私 小川秀興、 顧問 石橋康正先生、大塚藤男先生 (柏ひふ科院長/筑波大学名誉教授) 、世話人 北島康雄先生 (木沢記念病院院長/岐阜大学名誉教授) 、橋本隆先生 (久留米大学 教授) 、真鍋求先生 (秋田大学 教授) 、秋山真志先生 (名古屋大学 教授) 、事務局長 須賀康先生 (順天堂大学 教授) として初心を保ちつつ、自由闊達なdiscussionをコアとするこのユニークな研究会は発展しつつ継続しております。そして、第30回からは、澤村大輔先生 (弘前大学教授) 、武藤正彦先生 (山口大学教授) 、山本明美先生 (旭川医科大学教授) に、新たな世話人として加わっていただきました。
   今後も角化症に興味のある医学者(フィジシャン・サイエンティスト)たちが、本会を通じて互いに高め合い、各々の現時点での診断と治療の方向性を整理し、国際舞台をリードするような論文を発信するための場を引き続き提供できることを願っております。ベテランの先生も、若い先生もぜひとも積極的なご参画を期待しております。

2015年8月吉日

代表世話人  学校法人 順天堂大学理事長・名誉教授
公益財団法人 医学教育振興財団理事長
小川 秀興